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清めた手を拭き、ついてきた香佑焔に先導だけしてもらって、裏庭の社の前まで戻る。
先程より闇が増しているのは、夕方から完全に夜に変わったからか、それとも。
「急がなくっちゃ。紀子おばあちゃんが心配しちゃう。」
電話で、友人のところに寄るからいつもより遅くなりますと伝えてあったし、玄関の合鍵も渡されている。
だが、四屋敷の跡継ぎを預かっているとはりきっている下宿先の老女は、起きて待っていることだろう。
心の中で、曾祖母の教えを復唱する。
「ここで私にできることは、乱れた神様のお力を正しくなだめてさしあげること。きちんとお詣りして、感謝すること。お留まりすることをよしとしないならば、解き放ってさしあげること。」
おそらくは、人が住んでいたころは、何かしら祈られ願われていたはず。
この家の人たちを見守ってくれてありがとうございますと、百々は感謝しようと心に決めた。
神への感謝ーーーそれは、幼い頃から曾祖母より示されてきたことであり、百々の中に自然と根付いた感覚だ。
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