祝福と呪い

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その出現とともに、黒に染まっていた伊邪那美命の力は透明になり、急ぐように本殿内に戻っていく。 本殿の中で、二つの力が寄り添い、混ざり合い、さらにはもう一つの力がその二つを包み込んでいく。 ああーー歓喜しているーー 百々の瞳から、涙が溢れた。 「もう一息ですよ、百々ちゃん。」 不意にかけられた言葉に、百々が弾かれたように後ろを振り返る。 「大おばあちゃん!!」 そこには、式神を後ろに連れた曾祖母の一子と東雲がいた。 いつ一子がここに来たのか、百々はまったく気づかなかった。 それだけ集中していたとも言える。 「ほほほ。百々ちゃんたら。何があるかわからないんですから、集中しすぎたらいけませんよ。少しだけ余裕を残しておかないとねえ。」 まだ17の百々に、余裕など望めるはずもない。 びっくりしすぎて口をぱくぱくさせている百々の横に、一子が並んだ。 「それでも、よくやりました。まさか、あなたが伊邪那美命様のお力を鎮められるなんて。あなたを誇りに思いますよ、百々ちゃん。」 「・・・っ、はい!!」
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