祝福と呪い

31/32
前へ
/970ページ
次へ
一子からよくやったと言われ、百々は頬を赤くして笑顔になった。 認めてもらえた喜びが、心を感動で震わせる。 「さ、百々ちゃん。共に大祓詞を。」 「ま、待って、大おばあちゃん!しぃちゃんが・・・!」 その史生は今、崩れ落ちて体を痙攣させ、東雲に介抱されている真っ最中だった。 「しぃちゃん!」 「すぐに病院に連れていってもらいましょう。肉体の消耗もですけれど、精神の消耗の方がもっと心配ですからね。」 お願いしましたよと一子に言われ、東雲はこくりと頷いた。 救急車を呼ぶために、携帯を取り出した東雲に、百々が叫ぶ。 「東雲さん!しぃちゃんをお願いします!」 百々の声にも、東雲が力強く頷いた。 本当は、百々だって史生に駆け寄りたい。 しっかりと声をかけたい。 だが、百々が今やらなければならないことは、人相手ではない。 ほとんど鎮まったとはいえ、まだ正式に跡を継いではいない百々の祈りの効果は完全ではない。 本殿の中でまだその存在を主張する力が、それを如実に表していた。
/970ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11945人が本棚に入れています
本棚に追加