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自宅というこの世で一番安堵できる場所で、百々は意識を手放した。
数分後、様子を見にきた母の七恵は、パジャマに着替えもせず布団もかけずにうつ伏せに倒れ込んだまま熟睡している百々を発見した。
あらあらと、優しく布団をかけてやるも、百々はぴくりとも動かない。
一方、一子の部屋では、義父の丈晴が一子と睨み合っていた。
丈晴は、血は繋がっていなくても、心から百々を大切に思っている。
その百々のためなら、一子との対決も厭わない。
しかし、今回はそうはいかなかった。
「そうですか。佐多家のお嬢さんを、百々さんが助けたんですか。」
「ええ、そうなんですよ。詳しいことは私もわからないんですけどね。佐多さんのところのお嬢さん、百々ちゃんと同い年でねえ。さぞ親御さんもご心配されていたことでしょう。百々ちゃんも、放っておけなかったのねえ。」
百々が、三年間修行と称して世話になっている家の娘で、しかも百々と同い年。
父親として、佐多宮司の娘を案じる気持ちは、痛いほどわかる。
さらに、今回のことは、一子が百々に命じたのではない。
百々が気づき、動いたのだ。
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