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史生のことは、一子に相談はしていた。
だが、昨日の朝から夜までの24時間も経っていない中で、事態は急展開した。
むしろ、今回は一子が百々を案じて急いで佐々多良神社に駆け付けてくれていたのだ。
だから、丈晴としては、一子を責める要因がはっきりとは見つからない。
そこがまた口惜しく、丈晴は一子を睨むしかないのだ。
一子は、そんな丈晴に優しく微笑んだ。
「大丈夫ですよ、加賀先生。今回の百々ちゃんのこと、あの子なりに判断して動いたんですもの。信じてあげましょうよ。誉めてあげてもいいと思いますよ?」
「それは・・・。しかし、百々さんはあなたを待っていてもよかったのでは。」
「そうして、佐多さんのお嬢さんが取り返しのつかない精神状態に陥って回復できないとなったら、百々ちゃんは一生後悔するのではないかしら。」
「・・・」
反論できない丈晴に、一子が晴れやかに告げる。
「もう一度言います。大丈夫ですよ、加賀先生。あの子は、次代です。どの地であっても力を発揮できる身で、ましてやあの場所は神社。これ以上百々ちゃんに有利な条件はないのではなくて?」
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