11945人が本棚に入れています
本棚に追加
「希代の在巫女と呼ばれる私の曾孫であり
強すぎる故にこの家を出ることを赦された私の娘の孫である百々ちゃんが
未熟だから、年若だから、遅れを取ると?
本気でおっしゃっているのなら、香佑焔様、あなた。
随分と私どもと百々ちゃんを、なめてかかっていらっしゃるのではないかしら?」
ゾクゾクゾクと、神使の身である香佑焔の背筋を、冷気にも似た感覚が駆け上った。
目の前の老在巫女は、手を合わせたわけでもなく、呼吸を整えたわけでもない。
脅しの言葉で香佑焔を縛ったのでもなければ、神の力を借りて振るったわけでもない。
それなのに、香佑焔は恐怖した。
人間の感覚で言えば、血の気が引いて全身鳥肌がたっているようなものだ。
一子の言葉は、あくまでも穏やか。
ただただ、香佑焔の不明を問うもの。
あなたは、何を見ているのーー
希代の在巫女の曾孫をーー
強すぎて退けられた祖母をもつ次代をーー
未熟と呼び、案じるばかりのあなたはーー一体何を見ていることやら
.
最初のコメントを投稿しよう!