鬼女の理由

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聞きたいのでしょう?と言われれば、百々が頷かないわけがない。 一子が手を洗い口をすすぎ清めている間に、百々は母から二人分のお茶を持たされた。 食事を終えたばかりの百々の分の茶菓子も、盆に上がっている。 「これって、ブタ活だよね・・・とほほ。」 「あらあら、なんです、そのブタ活って。」 お腹がいっぱいなのに、つい食べてしまう。 太ってぶくぶくになっちゃうよーと百々が訴えると、一子がほほほと笑った。 「あなた、少しくらい太っても大丈夫ですよ。だって、今回のことで少し痩せたでしょう?百々ちゃん、昨夜はずいぶんと力を使いましたもの。」 一子のいう通り、朝食までに風呂を使い、清潔な服に袖を通す前に、百々は体重計に乗っていた。 痩せたといっても、サイズが変わるほどでもないのだが、それらしい運動や食事制限をしたわけではない。 「力の消耗は、心も体も消耗するんですよ。」 「けど、大おばあちゃんは痩せてないよね?」 「あらあら、おほほ。あの程度で痩せてどうします?」 愚問だったと、百々はため息をついた。 これこそ、格の違いである。
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