魂鎮

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「うん・・・そうだよね!やれることやってからだよね!」 わからないことを考えても、どうにもならないと、百々は気持ちを切り替えた。 そのさっぱりきっぱりとした切り替えの早さは、百々の強みでもある。 柔軟な精神なのだ。 百々は、一旦そこから出た。 一度通った道なので、頼りない明かりでもどうにか躓かずに済んだ。 止めてある自転車に戻り、通学鞄からペットボトルを出す。 綺麗に洗ったそこには、水が詰められていた。 水道水ではない。 佐々多良神社の御手水の水だ。 いただきます、と神様におことわりをし、柄杓で汲んでそっと入れてきた。 間違っても、ペットボトルをいきなり水の中に突っ込むような乱暴な真似はしてきていない。 神の力の一端に触れ、その恩恵をいただくのだ、失礼なことは極力控える。 百々は、その水で両手と口を清めた。
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