真相

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百々は、加賀の運転する車に乗り、四屋敷に向かった。 車中で、加賀は今日百々が一子から聞かされるであろう話について一切触れなかった。 前回、百々がいかられることになったことについて一切。 代わりに。 「学校はどうだ」 「授業でわからないことはないか」 「友達とは遊び時間があるのか」 まさに父親の典型のような質問を時々助手席の百々に投げ掛けた。 「理数系ならいくらでも教えてあげます。」 「あ、うん、今のところどうにかわかる・・・かな。」 成績は可もなく不可もなく。 貪欲に順位を上げたいという意欲はない。 宿題とそれなりの予習で取れるだけの成績を取っていればいいと百々は考えている。 「百々さん・・・行きたかったら大学に行ってもいいんですよ。」 自宅近くまで来て、ようやく加賀がぽつりと呟いた。
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