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紅葉学院では、同好会では『大会出場権』は与えられない決まりになっていたからだ。明日から春休みに入る現在。剣道部はまだ、かろうじて『部』となっているだけで、風前の灯同然だったのだ。
「新入生の入部に賭けるしか、ないかぁ。」
剣道部員(二)の言葉に、桜花は眉を寄せて答えた。
「………どうだろうなぁ。中等部には、剣道部自体がない。道場とかに通ってるなら、わざわざ剣道部に入部する必要はない。」
桜花のように、ただ純粋に・がむしゃらに『強さ』を求めているのでなければ、道場に通っているだけで事足りるだろう。
まぁ、単純に〝剣道が好き〟と言うのなら、部活にも入るだろうけれど、それも望みは薄い。
「この際、素人でもいいんだよね。人数さえ集まれば。団体戦は無理でも、個人戦なら桜花がいるし。」
素人部員では、団体戦での戦力にこそはならないが。取り敢えず、大会には出場出来る。しかし、如何せん桜花は特定の流派には属さず、段位も持っていない。
そして、桜花の〝我流剣舞〟はどちらかと言うと、どんな型にも対応できる実戦向きであり、厳密に言えば〝剣道〟ではない。
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