91人が本棚に入れています
本棚に追加
-桜並木の通学路-
「………あの、ね、おーちゃん。クラスの人達がね、合コンやるんだって。………それで、その……一緒に行かない?」
『おずおず』と遠慮がちに言葉を紡ぐ椿季。桜花がなんと答えるか、何となく予想出来ているからだろう。
「…パス、時間の無駄だ。そんなん行くくらいだったら、家で『新撰組DVDコレクション』一気見してた方が、ずっと有意義だ。」
それは、そうだろう。何せ、桜花は新撰組を〝愛している〟のだから………。
そもそも、春休みと言うのは年度変わりである為、宿題のない、貴重な長期休暇なのである。それを充分、満喫すべきだ。
「それに、あたしは部活の自主練あるし………。椿季も、たまには部室に顔出せば?いくら幽霊部員でも。」
「でも。特に行く必要性、感じないんだもん。本読むだけなら、何処でも出来るし………。」
「ん、まぁね。だから、文芸部に入ったってのは知ってるけど、さ。」
-勉学・スポーツ共に力を入れている紅葉学院は、所謂『名門校』で必ず何かしらの部活か同好会に入らなければならない、と言うやや横暴にも感じられる校則がある。
最初のコメントを投稿しよう!