- 桜花と椿季 二人の花姫 -

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-桜並木の通学路- 「………あの、ね、おーちゃん。クラスの人達がね、合コンやるんだって。………それで、その……一緒に行かない?」  『おずおず』と遠慮がちに言葉を紡ぐ椿季。桜花がなんと答えるか、何となく予想出来ているからだろう。 「…パス、時間の無駄だ。そんなん行くくらいだったら、家で『新撰組DVDコレクション』一気見してた方が、ずっと有意義だ。」  それは、そうだろう。何せ、桜花は新撰組を〝愛している〟のだから………。  そもそも、春休みと言うのは年度変わりである為、宿題のない、貴重な長期休暇なのである。それを充分、満喫すべきだ。 「それに、あたしは部活の自主練あるし………。椿季も、たまには部室に顔出せば?いくら幽霊部員でも。」 「でも。特に行く必要性、感じないんだもん。本読むだけなら、何処でも出来るし………。」 「ん、まぁね。だから、文芸部に入ったってのは知ってるけど、さ。」 -勉学・スポーツ共に力を入れている紅葉学院は、所謂『名門校』で必ず何かしらの部活か同好会に入らなければならない、と言うやや横暴にも感じられる校則がある。
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