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早くに、両親が他界した所為か。自立心が高く、根がしっかり者で面倒見のいい桜花は、椿季を放っておけない。
容姿端麗・頭脳明晰・スポーツ万能と三拍子揃った桜花が、同性から反感を持たれないのは、その性格と気性故なのだ。
(※桜花に嫉妬する者や、夏奈のような性悪女もいるけれど。)
「…ごめんね、おーちゃん。やっぱり、私ってダメダメだぁ………。」
『しゅーん』と悄気た顔で項垂れる椿季に、桜花は『ふっ』と優しい微笑を浮かべた。
「ありがと、椿季。その心遣いだけで充分だから、気にする必要はないよ。」
〝よしよし〟とでも言うように、椿季の頭を撫でる桜花。若干ペット扱いのようだが、椿季は嬉しそうにしているので、まぁいいだろう。
「………おーちゃんは優しいから、いつもそう言うけど。私だって、おーちゃんの為に何かしたいの。私なんかが、烏滸がましいって思われるかも知れないけど………」
「見損なうなよ、椿季。あたしがそんな風に思うわけないだろう?可愛い椿季が、そこまであたしのことを考えてくれて、嬉しいよ。」
そう言う桜花に、椿季は『ふにゃっ』とした笑みを浮かべた。
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