- 桜花と椿季 二人の花姫 -

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 まともに出来る家事は、掃除と洗濯。必然的に月宮(つきみや)()の食事及び、お弁当作りは、正宗の担当である。  まぁ、正宗が〝色々とチートっぽい〟のも理由の一つだろうが。もう一つの理由は、正宗が『重度のシスコン』な所為もある。  けれど、それも無理からぬこと。正宗と桜花はたった二人きりの家族、時を同じくして産まれた、魂の半身なのだ。  そして、今となってはお互いが『唯一の肉親』。いくら『玖月(くづき) 恭史郎(きょうしろう)』と言う後見人がいるとは言え、正宗は大勢の大人達の中で、必死に桜花を護ってきた。自分がら、桜花も。 -だから。命を懸けてでも『桜花を護る』と-  それが正宗が己に誓った、誇り高い誓約であり、生きる糧となったのだった。  そして。そんな正宗と椿季が傍にいたからこそ、桜花は立ち直れた。神楽に捨てられた後、失恋のショックから桜花は心身のバランスを崩し、暫しの入院を必要とした。  退院した後も、失恋の痛手は深く。桜花は暫くの間、竹刀を持つことさえ出来なくなっていた。………それでも………立ち直れたのだ。
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