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「それに〝あたしの為に〟って言うなら、もう充分過ぎるほど支えられたぞ………あの時に。正宗にもな。」
桜花の言う、あの時と言うのが『神楽に捨てられた後』のことだと知っている椿季。桜花の沈むのを見たくない椿季は、努めて明るく言葉を継いだ。
「わ、私より、正宗君が凄かったよね。二人掛かりで、漸く止めたくらいだったし………」
「ああ、止まってくれて良かった。危うく、月宮家から『殺人者』を出すとこだったからな。」
そう。『重度のシスコン』である正宗は、桜花が泣きながら、神楽に捨てられたと打ち明けた時。それはそれは烈火の如く、だが静かに怒り狂った。
『へえ?………桜花を泣かしたってことは、ソイツ死にたいってことだよね?待ってて、桜花。ちょっと殺ってくるから。』
と『ちょっとコンビニ行ってくる』みたいなノリで、神楽に報復しに行こうとしたぐらいだった。
-何とも凄まじく『結び付き』の強い双子だ-
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