- 桜花と椿季 二人の花姫 -

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-紅葉学院 剣道場-  竹刀を打ち合う音が響いている。それはだんだんと速さを増し、激しいものへとなってゆく。 -パン、バンッ、バシバシ、ズダーンッ 「面あり、一本。勝者、桜花(おうか)!」 「あ~、やっぱり~。マジ、桜花強すぎ。大会新、作れそーなのにー。」  先程まで打ち合っていた所為か。面を外した二人は、額に汗を浮かべていた。面を外し『桜花』と呼ばれた少女が涼しい顔で言う。 「………出場さえ出来ればな。超名門と謳われた、我が紅葉学院剣道部が、廃部寸前…とはね。」 -紅葉学院(こうようがくいん)。県内屈指の名門女子高で勉学・スポーツ両面において、優秀な生徒が多く在籍している。  特に剣道部は、数々の大会等で好成績を納めていた。しかし、今は廃部寸前の憂き目に遭っている。  と言うのも。この紅葉学院では、五人以上でなければ『部』とは認められない。この三人以外は三年生だったため、この春に卒業し、在校生は二年に進級する三人だけになってしまった。  三人以上なら『同好会』として認められるものの、『部』として認められなければ、諸々の大会等に出場は出来ない。
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