91人が本棚に入れています
本棚に追加
-紅葉学院 剣道場-
竹刀を打ち合う音が響いている。それはだんだんと速さを増し、激しいものへとなってゆく。
-パン、バンッ、バシバシ、ズダーンッ
「面あり、一本。勝者、桜花!」
「あ~、やっぱり~。マジ、桜花強すぎ。大会新、作れそーなのにー。」
先程まで打ち合っていた所為か。面を外した二人は、額に汗を浮かべていた。面を外し『桜花』と呼ばれた少女が涼しい顔で言う。
「………出場さえ出来ればな。超名門と謳われた、我が紅葉学院剣道部が、廃部寸前…とはね。」
-紅葉学院。県内屈指の名門女子高で勉学・スポーツ両面において、優秀な生徒が多く在籍している。
特に剣道部は、数々の大会等で好成績を納めていた。しかし、今は廃部寸前の憂き目に遭っている。
と言うのも。この紅葉学院では、五人以上でなければ『部』とは認められない。この三人以外は三年生だったため、この春に卒業し、在校生は二年に進級する三人だけになってしまった。
三人以上なら『同好会』として認められるものの、『部』として認められなければ、諸々の大会等に出場は出来ない。
最初のコメントを投稿しよう!