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そんなこんなで、途中ナンパしてきた男達を、悉く(桜花が)撃退しつつ、帰途に着いていた二人は、近道となる『公園』に入る。
そこには夕方にも関わらず、元気に遊ぶ子供達や、世間話に花を咲かせる奥様方で賑わっていた。
そんな中。公園の中央にある、樹齢千年を超すと言う大きな桜の古木の前を通った時、唐突に桜花は『異変』に気付いた。
さっきまで、そうさっきまで聞こえていたはずの喧騒が、嘘のように掻き消えていたのだ。
それどころか、元気に遊んでいた子供達や、世間話に花を咲かせていた奥様方の姿も、いつの間にか消えていたのだ。
人気のない公園、桜の古木、耳が痛くなり『耳鳴り』がするほどの静寂。まるで、海の底にいるような錯覚さえしそうなほどの。
-『無音の街』がのし掛かり、押し潰される-
そんな『荒唐無稽』な錯覚さえ起こし、桜花の背筋に、妙な悪寒が走り………思わず隣にいる椿季を抱き締めた。
「おーちゃん?あれ、何?いつの間に、こんな静かに……………」
桜花に抱き締められ、椿季は漸く『異変』に気付いたらしい。しかし、椿季もあまりに異質な雰囲気に、桜花に縋り着く。
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