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「話変わるけど、桜………そろそろじゃん?新入部員が入ったら、お花見歓迎会とかしたいよね。」
「フツーに、皆でお花見でもいいでしょ。でも、あんたは〝花より団子〟タイプだけどね。」
「いーじゃん、楽しければ。大学生とか、社会人なんか花そっちのけで、飲んで騒ぐだけじゃん!」
そう。場所取りなどに躍起になっても、昼間から、無礼講で飲み会がしたいだけ。それこそ〝花より酒〟であろう。まぁ『花見酒』と言うのも風流だが………。
そんな風に言う合う二人を余所に、桜花は窓から見える桜を眩しそうに、愛おしそうに見つめた。
-桜は、桜花が一番『愛する花』だ-
爛漫に咲き誇ったかと思えば、瞬く間に〝耀く残像〟だけを残して、儚く散ってしまう。その潔く散る様さえも美しい。
『散華』が美しい花など、桜をおいて他にはあるまい。その潔さが、桜花が愛して止まない彼等に似ていて………。
-ガラガラガラ
「おーちゃん、帰ろ。もう、そろそろ下校時刻だよ~。」
そう言って剣道場の扉を開け、姿を見せたのは、〝アイドル顔負け〟であろうと思われる、おっとり系の美少女だった。
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