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その美少女の声に、彼等に思いを馳せていた桜花の意識が、現実に引き戻された。
「椿季?何でいるんだ、『先に帰ってな』って言ってあっただろう?」
「……だ、だって、おーちゃんいないと、怖くて帰れないもん。絡まれるのやだし………。だから、待ってたの~。」
桜花に『椿季』と呼ばれた少女は、じわっと涙を滲ませながら、言い募る。そんな椿季に心底〝参った〟と言うような表情を見せる桜花。
「『待ってたの~』って言われても………」
何かにつけて椿季に甘い桜花は、涙を滲ませる椿季に本当に困っているようだった。
「あははははっ。もう、すっかり『騎士』だね。片付けと戸締まりは私達がやっとくから、今日は一緒に帰ってあげなよ。」
「そだね、うちの学院って〝レベル高い〟って噂だし。マジで琴蔵さんみたく可愛い子多いしさ~。」
そんな風に言う剣道部員の二人も、結構整った容姿をしている。まぁ、それでも椿季や桜花ほどではない。
と言うより。椿季や桜花は歩いていれば、ほぼ〝100%〟で道行く男に声を掛けられる。それこそ、漫画みたいなモテっぷりだ。
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