- 桜花と椿季 二人の花姫 -

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 桜花のことなのに………いや、桜花のことだからこそ、まるで我がことのように怒っている部員(二)。 「桜花の何が不満だったっての?!あんな才色兼備な彼女(おうか)いながら裏切って、その後輩に手ぇ出すとか信じらんない!死ねばいいのにっ!」  未だに納得いかないらしく、尚も憤っている部員(二)。しかし、その言葉に部員(一)は暗い表情のまま言った。 「誘ったのって、夏奈(かな)の方からって聞いたけど。夏奈も夏奈だよ、あんだけ桜花に、可愛がって貰って置きながら、彼氏寝取るなんて!しかも、平然として言いふらすとか神経疑う。」  神楽とは『神楽(かぐら) 貴史(たかふみ)』と言い、紅葉学院の兄弟校である青葉学院(あおばがくいん)(男子校)の剣道部員。そして、婚約までしていた桜花の恋人、だった。一年半前までは………。  神楽は寝取られたのだ。しかも、相手は桜花が〝妹〟のように可愛がっていた後輩『支倉(はせくら) 夏奈(かな)』。  その上、これは誰も知らないことだが。夏奈は桜花が、婚約までしていた神楽を、からこそ、肉体(カラダ)を武器にして神楽を奪い取ったのだ。
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