- 桜花と椿季 二人の花姫 -

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 そこまで神楽を愛していたわけではない。夏奈が神楽を欲しがったのは、自分に見向きもしない〝桜花(ひと)恋人(もの)だったから〟である。  そもそも、桜花を慕っていたような振りをして、傍にいたのも〝神楽を奪う(とる)為〟だった。  桜花がそうであるように、神楽も文武両道な人気者だった。対して、夏奈には桜花ほどの美貌はない。躰とて、手足が長く・細身で長身の桜花とは比べるべくもない。  何より、その〝性悪さ〟……なのに神楽は、その夏奈の〝性悪さ〟に気付かず、泣き落としをされて、あっさり心変わりした。     -神楽は『優しかった』から-  に優柔不断で、に愚かであったのだ。優柔不断で愚かであったからこそ、夏奈の〝性悪さ〟にも気付かず、あっさり泣き落とされたのだろうけれど……………。 「………ってゆーかさ、桜花も桜花だよ!恨み言一つ言わないで、身ぃ引いちゃって。なのに、新しい彼氏とか作る気配もないしさー。」  部員(二)は言いながら、唇を尖らせた。『辛い恋の痛手は、新しい恋で忘れればいい』。確かに、そう言う人もいるだろうけれど………。
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