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「お前、カメと付き合ってんの?」
オレはいつものようにアイツの部屋で寝転んで、まるでさっき見たドラマについて語り合うみたいな軽い口調で訊いてみた。
昔から、暗くなるまで遊んで晩メシの時間までどちらかの部屋で過ごしていた。
そして、そのままどちらかの家で家族みたいに一緒にメシ食ったりして。
3つ年上の兄貴とマサくんの2人は中学に行ってから、オレたちと遊んでくれなくなった。
だけど、オレたちは変わらずつるんでいた。
段々と、ガキの頃からつるんでる女とは話すのが恥ずかしい、みたいな雰囲気が漂うようになっても、2人でいる時だけはオレたちは変わらなかった。
もちろんそれでも、オレは男にアイツは女に、姿形を変えていたのは避けられないことで。
成長するにつれいつしか、一緒にフロに入らなくなり、一緒にガッコーに通わなくなり、ガッコーでハナシをすることもなくなり、つるむダチも変わった。
それでも、放課後一緒に過ごす習慣とその時の関係だけは変わらなかった。
今思えば、意識してることをお互いに気づかないふりをしていたんだ。
近すぎて距離感が掴めなかった。
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