とんでもない上司

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どこの世界にトイレ掃除をしている彼女の背中に向かってプロポーズするバカがいるだろうか。 ああ、ここにいた。 トイレブラシを片付けて、ゴム手袋を外した私は、飛田に向き直ってニッコリ笑った。 「今のは聞かなかったことにする。将来、子供にどこでプロポーズされたか聞かれて、トイレとは言いたくないから」 「そっか。ごめん。あれ? ってことは、えっ!? OKってこと?」 抱き着きそうになる飛田を制して、寝室に連れて行った。 「やり直して」 「加絵、必ず幸せにするから僕と結婚して下さい!」 「はい。喜んで」 ウォーッと歓喜の雄叫びを上げた飛田の袖をツンツンと引っ張った。 「ね、キスして?」 貪るように唇を重ねてから、飛田が尋ねた。 「寝室に連れて来たってことは、その先も?」 「もちろん。上司命令よ。ね、早く」 「うっわ、エロ! とんでもない上司じゃん」 じゃあ、私たち、お似合いかもね。 END
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