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突然の来訪者
「ご機嫌麗しゅう」
引き戸を開くと目の前には美女が佇んでいた。腰に届くほど長い艶めいた黒髪に漆黒の瞳。あまりの美しさにユキは見とれてしまう。
ーーキレイなお人だなぁ……って、いけません。ご用件をお聞きしないとっ。
ふるふる首を横に振り、気持ちを切り替え口を開く。
「どういったご用件でしょうか?」
「……あぁ、何だ。ニニギ様ではないのね……ニニギ様出してちょうだい」
ユキの姿を認めると、浮かべていた笑みをぱっと引っ込め冷たく言い放つ。
「えっと、お名前お伺いしても良いですか?」
「あなた私を知らないの?桜の女神、コノハナサクヤよ……早くニニギ様出して、私忙しいの」
「……」
来訪の言伝てもなく、突如現れた彼女にミコトを会わせて良いのかと思い黙りこむ。
「ねぇ、私気が長い方ではないの。早くしてくれないとーー」
「ううっ」
冷めた瞳でユキを締め上げるサクヤ。苦しくてもがくが、どうにもならない。
すると、急に背中を引っ張られサクヤの手から逃れられた。
「遅いから心配して来てみたら……ユキ、大丈夫?」
「ミコト、様……」
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