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長い空の旅の末に降り立った地──
この砂の都、サンドリアージュに1人旅としゃれこんだ大学二年生の愛美は首都から離れた田舎町、ザビアを訪れていた。
「ん~…風情があっていいですな~」
路肩に並ぶカラフルなテント。市場に足を運んだ愛美は賑わいを見せる商人や客の掛け声を耳にしながら売られる商品を手に取り眺める。
「あっ! これ美味しそう…」
乾いた気候、照り付ける太陽の真下で少々喉が渇いた。愛美は露店に並ぶ果物を見てゴクリと喉をしめらせていた。
貧乏旅行の為に資金は手薄。愛美は財布の中身とにらみ合い、喉の渇きにあっさりと負けたようだ。
「…んまっ…甘しっ」
みずみずしいマンゴスチンの甘酸っぱい果汁が口一杯に広がる。
唇の端をジュルりと拭いながらその味を噛み締めていると、周りの町人達が何やら慌ただしく店をたたみ始めていく。
「~、∫∑∠∫≡〟∈──!っ」
「んっ?えっなに!?」
早口過ぎて聞き取れない。何かを必死に教えてくれてはいるのに全く言っていることが理解出来なかった。
「~、∫∑∠∫≡〟∈──!っ」
「だから何っ!?」
「だからっシーフが来たから逃げろ──!って」
ゆっくり大きく怒鳴ってくれたお陰で愛美はやっと理解ができた。
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