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声を堪えて息を乱す愛美の様子を眺めながらザイードはそこへの愛撫を強めていった。
「ああっ…いやっ…っ」
「ふんっ、嫌でも濡れるか?生娘にしちゃ大したもんだな?」
「っ…ほんとにいやっ…帰りたいっ…」
「──なら逃げたらどうだ?」
「───」
ザイードの言葉に愛美はえ、っと声を止めた。
「お前の首は布切れで杭に繋がっているだけだ──」
「………」
「その枕元には何が置いてある?」
「……──」
愛美の視線は訊ねられたまま剣に注がれた。
絨毯を掴んでいた愛美の指先がかすかに動く。
この男は一体何を試したいんだろう──
今この剣を手にとってもあたしは逃げられない。
ここはたぶん砂漠のど真ん中だ──
そして肌に着ているものはない。
こんな小さな剣を手にしても革紐を切ることさえ、あたしには無理だ──
愛美は冷静に考え始めていた。
間違った判断をすれば殺される──
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