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「な、なに!?」
怯えながら必死に声を上げる。
「真ん中にあるお前の低いそれは鼻か?──」
「は?……」
「よくそんな鼻で息が出来るな?」
「……」
ぬ──っ!?
「お前見たいな面をラクダに踏まれた顔って言うんだが…」
「……っ──」
言いながら愛美の腰を抱き止める腕に力が込められていた。不意に顔を仰がされ、男の瞳が近付く──
「お前、日本人か──」
「……っ…だったらなにっ!?」
「ふ…」
「──…っ…」
男の目尻が妖しく笑みを浮かべる。
「日本人の肌はこの世の人種の中で最高級らしい……」
「………!?」
「売買されればさぞ高値がつくはずだ──」
男のその言葉に愛美の頬がひきつった。
黒装束の男は真っ直ぐに見つめてくるその瞳を思いきり緩めると黒い布に覆われた唇を目の前に曝す。
そして囁いた──。
「高値の価値があるかどうか──…お前で試してやる」
「──…っ…やっ…」
上に被さるように唇全部を覆い隠す──
仰がされた愛美の瞳に強い陽射しが照り付ける。
目映い射光に目が眩む──
強引に押し付けられた男の唇の中から濡れた柔らかな舌が力強く愛美の口腔をかき乱した。
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