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みんなに冷やかされながら店を出たふたり。
かおりは状況が把握できず、しきりに「意味わかんないんだけど」と呟いていた。
一方、彼は鼻唄でもうたいながら彼女の手を引っ張って歩いていく。
「ちょっと待ってて」
彼は店の前の駐輪場に止めてあった原付バイクに歩み寄る。
「ねぇ」
「なに~?」
かおりに声をかけられ、前輪と後輪にかけているU字ロックを外していた彼は視線をいったんそちらに向ける。
うわっ。
なんなんだろ、この人……。
引力強すぎっ。
表情はとても柔らかく、心を掴んで離さない。
彼女はその視線から逃れようにも、彼の視線がそれを許さない。
やっとの思いで彼と視線をそらした時にはどうしようもなく彼女の心臓が高鳴っていた。
ハァ……。
心臓悪い……。
今までイケメンと言われる部類の人間には多く出逢ってきた。
しかし、かおりにとって彼ほど魅力的な人は生まれて初めてだった。
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