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彼女は一番奥に座り、自分の目の前の席をうつろな目で見ている。
頭の中でさっきの出来事がずっとうごめいていた。
モデルのようにスラッとした体型に、知的さがにじみ出ている整った顔。
サラサラの黒髪。
一度見たら誰もが忘れられないような男性だった。
あの人、こっちの言葉じゃなかった。
N大生かなぁ……?
色んな地域から学生が集まっているため、当然のことながら標準語圏の人間もいるだろう。
しかし、今までほとんど他大学生と出会う機会がなかったかおりは標準語を話す男性に初めて出逢った。
はっ!
もうっ!!
あの人のことはどうでもいいしっ!
そういう男の人に会ったの初めてだから気になっただけだしっ!
彼とのことを思い返しては懸命に異性として魅力を感じた自分を否定する理由を探していた。
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