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ひぃっ!
男に両手を握られ、かおりは思わず体を引く。
手を離そうとするけれど、男が離してくれそうもない。
「やっぱりオレたち出会う運命だったんだよ~!」
マジで、この人ヤバイ!?
「なになに?」
「どういうこと?」
「かおり、どこで知り合ったん!?」
方々から質問が飛び交う。
「ナンパ? ホントに?」
あの十和子の瞳に射抜かれ、困った表情をして首をかしげながらおそるおそる頷くかおり。
「こうして再会するってことは運命なんだよー。ねっ、ハニー?」
頭を傾け母性本能をくすぐるような表情をして彼女の顔を覗き込む男。
彼は自分がそんな顔をしたら相手が自分に嵌る可能性が高いことを自覚しているようだ。
かおりも心の中では必死に抗おうとしているものの泥沼状態で、もがけばもがくほど沈んでいくようだった。
「は、ぁ……」
顔を真っ赤にして間の抜けた返事をするかおり。
どちらかといえば冷静さを失わないかおりだったが、彼の前では舞い上がってしまうようだ。
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