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「行こっ」
そう言いながら彼はバイクに跨った。
「へっ!?」
「後ろ。乗って」
彼はエンジンをかける。
「二人乗りできないでしょ?」
「大丈夫、ウチすぐだから」
かおりの言う通り、50ccバイクで二人乗りは出来ない。
それは距離に関係なく。
しかし、戸惑っている彼女におかまいなく腕を掴み、強引に後ろに乗せた。
もうっ!!
マジで!?
「しっかり掴まってて」
彼はかおりの両腕を自分の腰に回させた。
必然的に体が密着するため、否が応でもかおりは彼の肌を服越しだけど感じる。
彼のかすかな汗の匂い、そして香水が薫る。
かおりは香水をつける男は好きではなかったけれど、その香りが彼に合っている。
また、香りが段々と彼を求めたくなる衝動に駆り立たせてそれとの葛藤と闘っていた。
これは俗に言うフェロモンというヤツかもしれない。
否が応でも彼に惹かれているかおりがいた。
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