オレの都合とアイツの未来

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“お客さーーん” 「ちょっと待っててよ、コッチにも事情があんの」 布地のない寒そうな首元に片手を滑り込ませて俯きかけた顔を覗くように近付き、 恥ずかしい、と呟くその唇にキスをした。 「あ」 「ん?」 「玲乃じゃない味がする」 「えっ?」 「お前…さよーならのちゅうとかしたんじゃねぇだろーなー」 「し、してないよ!ちゅうは!」 「ちゅうは、なのね。じゃ、ナニしたの」 「何にも!何もしてないってば」 「へぇー。んじゃ、帰って確かめなきゃね」 “お客さぁん” 「はーい、今乗ります。さ、行きますか」 「どこに?」 「そうね、まずはアメリカとか?」 「アメリカ?!」 「ボチボチ新旧交代セレモニーの時期なんだよね」 “お客さぁーん” 「はいはい、今乗りますよー」 「仕事あるし、それに私パスポート持ってないもの」 「そっか。んじゃ、役所に行こーか?」 「やってないでしょ、こんな時間だよ!」 「じゃあ、明日だなー。あ、そうだ!パスポート申請してからの変更は面倒そうだし役所に行くついでにさ、先に変えときません?」 「何を?」 「アナタの名字」 *完*
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