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「食って飲め」
年下のくせに兄貴ヅラの孝がバイトの経験を生かして就職したのは大手のコーヒー会社で、そこの企業向けに展開しているカフェサービスで出店した会社が偶然にも昌樹の商社だったと、付き合いが切れない関係を半ば嘆いていた。
「飲んで……忘れろ」
「……」
触れてくれなくていいのに。
大里さんは普段は無口なクセに、たまにくり出すヒトコトがボディブローのように効いてくる。
良くも悪くも、だ。
「言われなくても…」
「ん?」
「言われなくてもあんなやつのコトなんかもう吹っ切れてるし」
「うおっ!?おま、それ俺の!俺が食おうとしてた俺のカルパッチョー!……」
お皿のカルパッチョをざざーっと箸でかき集めて小皿によそうと、翔が泣きそうな顔で私を見た。
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