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「俺の?名前でも書いてある?この店って名入れサービスでもやってるんですか!ハン!」
「あーあ。翔さん、また頼めばいいじゃん、ね?」
「そーそー!あ、ついでにビール頼むからさ。他は何かいる?」
「玲乃の為にいい男頼んでくれ。やけ酒付き合うのも疲れるから」
「はぁ?大里さんそれどういう意味?!」
「りょーかーい!あ、すいませーん!」
長い腕をブンブン振って店員を呼ぶ昌樹が、
『ビール5つとサーモンのカルパッチョとジャーマンポテトと、あといい男一人ください!』
とふざけて注文して、それにみんなが笑って、
「あ、忘れてる!」
肩を震わせて笑う店員の後ろ姿に、四つん這いの格好で座敷から顔だけを出して、
「あと軟骨唐揚げもね!」
と、笑いながら声を張り上げて頼んだ私の後頭部から、
「良く食うなぁ、お前は」
その人は、
ずっと私が一番近くで聞いてきた声でそう言った。
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