私の都合

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「おーい玲乃ー?そこにいるのかー?」 御手洗いの外から心配そうな翔の声がする。 「いるー!」 「ぶっ。いるー!じゃねぇよ!早く出てこいよ」 「はーい」 何もしてないけどとりあえず手を洗いハンドドライヤーで手を乾かして、ササッと鏡で目元をチェックしてからドアを開けると、 ドアのすぐ前で翔が腕組みをして突っ立っていた。 「お待たせ!どうぞ!」 「ありがと、漏れそうだったの、って違うわ!」 「お見事」 「どーも!」 「上手くなったね。成長したねぇ」 「嬉しくねぇー」 「あはは」 「ったく、お前は……」 「はは……」 「ったくもう……」 あの翔が言葉に詰まっている。 というよりも、今は私の為に言葉を選んでる、というのが正解かもしれない。
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