毒をまとった妖魚

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〝そういえば、なぜあの時、おやじはあんな顔をしたんだろう、何が言いたかったんだろう?〟 〝ああ!『毒にやられるなよ』か……〟 いろんなことが頭の中を巡って行き、たくさんの涙は海になっていった。 そして気持ちは前向きになっていく。 〝空はどれくらい海をさ迷ったのだろう?〟 〝誰か俺を捕らえてくれるか…〟と目を光らせる。 自分を獲物にしてくれる〝獲物〟を探すため泳ぐスピードが上がり、ウロコが輝き出す。 それは毒をまとった瞬間であった。
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