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………。
うるさい。
騒がしい。
何の音だ?
…?
これは、
水が流れる、音?
川からか?
こんなに激しい流れだったか?
いや、それより、僕は…?
確か、盗賊にやられて…なのにどうしてこうやって立っているんだろう。
あぁ、もう、うるさい。
いや、それよりも、早く帰らないと…。
……雨まで降ってきた。
最悪だ。
……雨?
そうだ。
違う。
ここはあの川じゃない。
ここは
『あの場所』か?
うるさい。川の流れも雨の音も。
流れの速い川は嫌いだ。
篠突く雨は嫌いだ。
何もかも、消し去ってしまう。
この時もそうだった。
あぁ、
うるさい。
赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。
誰も、戻ってきてくれないんだ。
君が思う「誰か」は家族のことだろう?
後で違う誰かが来る。
その人が君を助けてくれる。
お前は母を思い、父を思い泣いてるんだろう?
だから、泣くな。
赤ん坊のお前が泣いても、意味なぞない。
だから、泣くな。
うるさい音にうるさい声が足されても耳障りなだけだ。
……耳障り、だから。
お前がうるさいから
戻ってきて、くれないんだよ。
こうしていても無意味なんだ。
だから
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