8人が本棚に入れています
本棚に追加
いや、でも、これは菊地先輩と一緒に園内をまわるチャンスかも。
大学の選択授業の一環で、歴史的建造物の集められたテーマパークへやってきたものの、あまり受講生は少なく、十人に満たず、八人だけ。
で、そのうちの、キャッキャウフフな浮かれた五人組は勝手にまわるようで、残るは三人。
私と、菊地先輩、それと、菊地先輩の幼なじみの綾津君。
気さくな青年で、人見知りな私もふつうに接している。
それどころか、私の気持ちを知っているようで、なにかとアシストしてくれることも多い。
「じゃあ、まあ教授は俺が見とくからよ。
菊地と前山は二人で見てこいよ」
ナイス綾津!
ハゲと違って、ほんとに出来るやつだな。
今度、缶ジュースでもおごってあげるからね。
「あ~でも、そうすっと綾津が見て回れないだろ。
俺が見とくわ」
あぅ、自分はいいからと、嫌な役を率先して引き受けようとする先輩。
優しさのオーラみたいなものが溢れ出てます。
でも、それだと私が先輩とまわれないです。
「いや、ふつうにガキの頃から何回も来てるし、今さらだから、俺はいいわ。
ほら、さっさと前山連れて行ってこい!」
ほとんど強引にだけど、私と先輩を押し出した綾津君。
うん、うまい棒もつけてあげるね。
最初のコメントを投稿しよう!