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「おい、起きろ!学校遅刻すんぞ!ハゲ!」
眠い、眠すぎる・・・。
「・・・まだ、俺が覚醒するときではないんだ・・・。母さん・・・・・・。」
「中二病かよ!大体俺はてめえのお母さんじゃねえよ!!」
重いまぶたをこじ開けた先には、エプロンと学生服に身を包んだ俺の嫁が────
「いい加減起きろや!!!」
────いるはずもなく、視界が鈍い金属音と共に暗く染まった。
「い、いくら何でも・・・。毎朝毎朝中華鍋で起こすのは・・・。」
先ほどのDVで完全に意識が覚醒したあと、作ってもらった朝ごはんを美味しく頂いている。・・・・・・ちょっと覚醒しすぎたのか、それとも朝から誤った使い方をされた調理器具と頭突きをしたからか、頭が痛い。多分後者のせい。
「底が丸いだけフライパンよりもいいだろ?大体、毎朝毎朝中華鍋が飛んでくるって分かっててぐっすり寝られるお前の神経の方を疑うけどな。」
さっき中華鍋を飛ばした張本人。俺の幼なじみの相司(そうじ)。確か中学のとき、学年の男子の中で1番背が低く、152cm。ライトブラウンの、動く度にふわふわ揺れるショートヘアー。目はビー玉のように綺麗でくりくりした二重。本人はコンプレックスに感じているらしいが、正直そこらの女子よりも遥かに可愛い。そして料理が上手い。・・・・・・昔から思っているけど、本当はこいつ、性別を詐称しているんじゃないだろうか。まあ、アレがついているのは知っているから、残念でしょうがない。
「・・・哀れみの目を向けんな。気持ちわりい。言っとくけど、お前みたいに全てにおいて平凡が揃いきった平凡の中の平凡、ザ・平凡よりはよっぽど幸せな人生だよ。」
「気にしてんだから言うなよ!てかエスパーかよ心読むな!」
「そういう風にカマかけるとひっかかるちょろい所は平凡よりもよっぽど下だな。良かったな、非凡なところが見つかって。」
「大変ありがたいですこと!お前はその口の悪いところが玉にきずだよなあ!」
「はは、お前にだけだよ。特別、だよ?」
「全くもって要らない特別!」
朝からギャーギャー言いながら、ご飯を食べる。ズズ・・・おっ、味噌汁ウマ。
なんだかんだ言いつつ、毎朝起こしてくれて、ご飯まで作って一緒に食べてくれる。ほんとイイヤツだな。口悪いけど。
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