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助けて、と私が言わないのは、助けてと私が呟いたところで誰が助けてくれるわけでもないと思うから。
助けて、と私が言わないのは、助けてと私が呟くことで善良な貴方の平安を奪ってしまいそうだから。
助けて、と私が言わないのは、助けてと私が呟くことで私に助けが必要であることを私自身に刻み込んでしまうから。
助けて、と私が言わないのは、助けてと呟くことなど許されない私だから。
私は助けて欲しいのか。
むしろ痛めつけて欲しいのか。
呵責から解放されたいと願うのが私の真実でありながら、その呵責自体が私を私たらしめる実態があり、私は私自身に価値を奪われつつそこにある私らしさを手放せない。
そして今日も、喉の奥に言葉を詰まらせる。
言いたいのに言えない、言いたくないのに舌を震わせてしまう、助けての一言。
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