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信号待ち。
長い赤を、ただ眺め、色が変わるのを待つ間。
ぁあ、ここで何か起こればいいのに。
私の責任にならぬ何かが起きて、私の人生が問答無用に終わればいいのに。
と、つい望んでしまう、その刹那。
お前の生に、それほど悩む価値などあるものか。
死にたいのなら勝手に死ね。
私の奥底からそう吐き出すあなたは、悪魔か。それとも神なのか。
そう。しかし何にせよ。
私自身が何なのかと言えば、
もし私が今死んだらと妄想する先に浮かぶ、私の死に動揺し嘆いてくれる人たちを、ただひたすら重いとしか感じぬヒトならざる物体です。
私のこの腐りかけた魂が、この世にとっても私にとってすらも無駄な存在なのだとしたら、私として存在するこの物体を私の魂から解放することは、もはや善なのではなかろうかと、考えて。
そしてすべてを押し込め、私は平然と、また横断歩道を渡って行く。
ただ、“私”として。
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