遺書

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「なにやってるんですか!」 思わず上げた声が震えていました。 私の声に体を大きく揺らす設楽さん。 ゆっくりとこちらを振り返ります。 ニタニタと笑っています。 それはそれは不気味なほどで、背筋が凍りつくとはこういうことを言うのだと頭の片隅で冷静に思う私がいました。 「きゃあああああ」 え!? 何故か彼女が大声を上げます。 「設楽さん!」 私のほうが悪いことをしてるみたいで、焦ってしまいました。 私はとっさに彼女の口をふさごうと駆け寄ります。 本当に何故? どちらが悪いことをしているのでしょう。 「どうしました!」 警備の中年男性が現れました。 すると、それを図ったかのように設楽さんはしくしくと泣き出しました。 何故? 何故にあなたが泣くのです。 私のほうが泣きたいくらいなのに。 「店長が、山下さんのお金を盗もうとしてたんです!で、私に黙っててくれってポケットにサイフを入れて脅してきたんですっ」 え……。
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