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「実晴?」
『あっ、聖司!よかった…間に合いましたね』
「あぁ…なんとか、抜け出してきた」
12月31日、今年も残り10分を切ったタイミングで待ちかねていた実晴の携帯がやっと鳴った。
「ごめん、ザワザワうるさいよね?」
『いえ…聖司さんの声、ちゃんと届いてますよ』
実晴は毎年、祖父母の住む新潟で年を越すために家族と一緒に新潟にいた。
対する聖司は大学時代の友人と年を越すのが恒例になっており、友人の家にいた。
「天気どう?雪降ってる?」
『いえ、雨がちょっと…東京はどうですか?』
「こっちは暖かいらしいよ。ちょっと寒いけどね」
仕事納めからたった2日、それだけの間しか空いてないはずなのに実晴も聖司も、他愛ない話で顔を緩ませ、穏やかな時間を共にしていた。
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