反撃

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若旦那様に抱かれてもまったく問題はない。 私だけというものでもないけど、ずっと目をつけられていたし、それだけよくもしてもらえてきた。 若旦那様以外の人と言われると抵抗はある。 抵抗はあっても受け入れるしかない。 その前に…というものは、なんの予告もなく、八杉姐さんに呼ばれて部屋にいくと、そこにあの藤弥さんを狙う遣り手と二人で待っていた。 「鈴音、わっちのことは知ってるだろうが、こっちは美寿々っていう新しい遣り手だ。おまえと関わることは一切なかったから知らないだろう?」 なんていう八杉姐さんのあの遣り手の紹介から始まって。 知らないけど知っている。 番頭を見張っている遣り手の中では新しい遣り手。 八杉姐さんにしっかりと拘束されて、みすずという名のあの女が張り型を手にする。 「おとなしくしてね。優しくするから」 なんていう言葉を笑顔で言って、私の股を開かせて。 なぜかどうしてか、その女だけはいやで。 このまま蹴り飛ばしたくなって、股を開けない。 これが嫌なんじゃない。 藤弥さんにしてくれと望むつもりはない。 相手が嫌なだけ。 番頭にやられるよりはましだと自分を騙すように思っても無理。 「八杉姐さん、離してください」 私を捕まえる背後の八杉姐さんに言っていた。 「おや。おまえが怖じ気づくとは思わなかったよ。どうした?こわいか?これが終われば、あとは手慣れた若旦那様がやってくださるさ」 「今日は…あかん。お願いやから離してくださいっ」 泣きそうになってきた。 目の前にいる美寿々姐さんは油を手にして、張り型に塗りつけて、その準備を進めている。 その顔を見たら、どうしても嫌だった。 あずま野姐さんにされていたら、きっと素直に受け入れた。 相手がいや。 どうしても受け入れたくない。 自分でやるほうがいいくらい。 涙がこぼれて、八杉姐さんは私を離してくれる。 「うち、自分でやるっ。やられたないんですっ」 私は八杉姐さんを振り返って強く拒否。 「女にやられるというのが嫌なのかい?鈴音なら客ともうやってるだろうが、こういう儀式なんだ。わかっておくれ」 やってないし。 なんでそう、すぐにもうやってるほうに思われるのか。 橘姐さんについていたときに、武士に客になれと望んだ話からだろうか。 それとも若旦那様や黒を連れてきたことだろうか。
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