file 1 心理学研究部の美少年

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そこに、更に他の男子生徒が話に入り込んできた。 「もう一人の自分がいるとか、それを見たら死ぬとか科学的にはあり得ない」 そんな断定的な言い方をするのは、 キャンバスに青い花瓶とリンゴをデッサン中の有本くん。 確か、下の名前は……、 「出たぞー現実主義の真次くん」 そう。 有本真次くん。 「俺は根拠の無い話が嫌いなだけだよ」 17歳には見えない大人顔と、色素の抜けたような茶髪が印象的な男子生徒。 私が彼の名前を直ぐに思い出したのは、 職員室で良く先生たちが話題にしていたからだ。 「学年トップの有本真次が新しい部を立ち上げたらしい」 「へえー、あの文武両道の有本が何を始めたって?」 「心理学研究部だと」 「……これまた高校の課外活動にしては珍しい……」 「長けた頭脳をモテ余した結果だろう」 ーー私立高校 清鎮学院の 【心理学研究部】 たった一人の部員。
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