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「え?」
「さっきの美術の時間に聞いちゃったよー! いつ結婚すんの?!」
「俺、密かに美紀ちゃん狙ってたのにー」
生徒達の冷やかしに、ミノルの背中がピクリと動いたような気がした。
そして、私の存在に気がついていたのか、ゆっくりとこちらを振り返る。
何か言いたげだ。
ううん。ミノルが言いたいこと、わかってる。
″何でバラしたんだ?″……と。
「結婚したら美紀ちゃん転勤?」
「……その可能性はあるけど、私立だからどうなるかわからないよ。早く教室へ戻りなさい」
先ほどより口調が沈んだミノルは生徒達が側を離れると、私の方を再度振り返り、
「あとで」
と口パクで言っていた。
私はてっきり、またミノルは夜に家へ来るのだと思っていた。
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