file 1 心理学研究部の美少年

23/46
前へ
/283ページ
次へ
それから暫くは美術室でボンヤリとしていた。 ミノルにあんな自分勝手な一面があったなんて知らなかったから。何となくショックで……。 屈辱的な気持ちを立て直すのに時間を要したけれど、いつまでも残っているわけにもいかない。 戸締まりをして玄関へ向かうと、 「滝田先生」 背後から男子生徒に声をかけられる。 振り返ったが、廊下は真っ暗で直ぐには誰だか分からなかった。 「……先生、目、悪いの?」 声の主が照明のついた玄関へ近づいてきて、ようやく顔を見ることができた。 夜に映えるとても美しい顔をした少年……、 2年A組の有本真次くんだった。
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加