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それから暫くは美術室でボンヤリとしていた。
ミノルにあんな自分勝手な一面があったなんて知らなかったから。何となくショックで……。
屈辱的な気持ちを立て直すのに時間を要したけれど、いつまでも残っているわけにもいかない。
戸締まりをして玄関へ向かうと、
「滝田先生」
背後から男子生徒に声をかけられる。
振り返ったが、廊下は真っ暗で直ぐには誰だか分からなかった。
「……先生、目、悪いの?」
声の主が照明のついた玄関へ近づいてきて、ようやく顔を見ることができた。
夜に映えるとても美しい顔をした少年……、
2年A組の有本真次くんだった。
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