file 6 サイコ Ⅱ

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震える指でビニールを剥ぐと、中には、霜で埋め尽くされた赤ちゃんの姿が……。 「……星乃……」 顔の霜を取り除く。 「……カワイイ赤ちゃんだったんだね」 有本くんも恐怖心は抱いてないのか、遺体を食い入るように見ていた。 十五年間も放置されていたとは思えないほど、遺体はとてもキレイ。 火災の前にこちらへ隠されていたのか、火傷のあともない。 ミイラ化していない頬は、さきほどまで生きていたみたいに柔らかに見えた。 「産着に、名前が書いてある……きっと産院で着せてたのね」 ″滝田 星乃″ お父さんの字だ。 自分の子供じゃないと分かっていても、出産の準備をちゃんとこなしていたんだ。 お母さんの生む子供だから、私の妹だから、 お父さんは不貞を許して育てていこうと決めてたんだ。 ……それなのに、 私は、星乃を殺した。 お母さんの為だけじゃなく、お母さんを独り占めしたくて。 私は、星乃を抱き締めたまま、 スマホを取り出してある人に電話をかけた。 さすがに地下だけあって、電波は入りにくかった。 「もしもし?」
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