file 6 サイコ Ⅱ

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私が電話口でそう伝えると、見つめていた有本くんの目が大きく見開いた。 「はい。……星乃を窒息させて殺して、私が現在の住まいの地下に冷凍保存してました。父のアトリエにガソリンを撒いて火をつけたのも私です」 十五年前、当時14才未満だった私が、刑事責任に問われることはない。 「妹の殺害を、松丘に脅された父は、仕方なく模写画を譲り渡したんです」 父を、 殺人と詐欺の汚名から救ってあげられるのは私だけーー 「……はい、ここでお待ちしています」 最期くらい、 キレイな身でいさせてあげたい。 ただ、それだけだった。
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