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驚いた。
「こんな遅くまで部活やってるの?」
課外活動が許可時間はとうに過ぎていたから。
グラウンドの方からも既に生徒達の声はしなくなっている。
「一人しか部員いないからね。部活動らしい活動はしてないよ」
有本君は、答えながら靴を履き終えて、私をじっと見つめていた。
その目が鋭くて、つい視線を逸らした。
先ほどの淫行をもしかして見られたのではないかと思ったからだ。
「……私に何か用事?」
並んで歩くのを避けるように、彼より先に一歩を踏み出す。
目の前の静まり返る校庭はとても不気味だった。
「うん。一緒に帰ろうかと思って」
「私と?どうして?」
そもそも方向は同じ?
避けていた彼の目を見ると、17才らしい瞳になって私を見つめ返した。
「先生が見てしまうソックリさんを、俺も見たいと思ったからだよ」
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