file 1 心理学研究部の美少年

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どうやら有本くんは昼間の話が気になっていた様子。 「その現象が、ドッペルゲンガーなのか、それとも他人の空似なのか……凄く気になるし真実を突き止めたくなった」 素人の研究でどこまで分かるというんだろ? いくら賢い生徒でも、ハッと見てしまう位の美少年であっても、正直、研究対象にされるのは迷惑……。 ため息混じり帰路につく。 「一緒に帰るのは構わないけど帰宅遅くなるわよ? ご両親心配するんじゃない?」 「俺、一人暮らしなんで平気です」 私の心境を察していないのか、当たり前のように並んで歩き始めた。 「そう…寂しくないの?」 「全く」 「夜も?」 「はい」 「……ちゃんとごはんは食べてるの?」 「ご心配なく三度三度食ってます」 「……そう」 「……はい」 「……」 ひと気のないスクールゾーン。 民家の前を通れば晩御飯の匂いも漂ってくる時間帯だ。 ……お腹すいていきた。 何だか早く口直しをしたい。 無言でいるとお腹の虫が聞こえそうで、有本くんの部活動に話題をふった。 「部員が集まらなくても部活動は続けていくの?」
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